- さわら入込み時には、荒満(満ち潮の盛んな時)に浮き上がり、水の上層を遊泳し、出魚(モゲ)には、荒干(干き潮の盛んな時)上層に浮き出る。このため荒網は豊漁する。
- 魚型が平均小型で、その間に特に大きい(一尾6キロ位)魚が混じって漁獲がある時は、その年は豊漁である。
- イカの豊漁な年は、さわらの漁は少ない。
- 入込み時のさわらは、満ち潮の都度その流れに従って内海に入る。
- 入込み時のさわらは、満ち潮の都度その流れに従って内海に入る。
- ヒラの入込みと同時に、さわらは出魚を開始する。
- 八十八夜前までに(産卵期前)北風が吹く時は、海底の質が泥で、海深き漁場で漁獲が多い。しかし、その当夜及び当日位は多くても次第次第に減少する。
- さわらが出魚(産卵期後)に向かいはじめた時は、瀬の上に集まる。
- 夜間は瀬の上には全く遊泳せず、必ずその付近の深海の潮流の速い所にいる。
- さわらは耳が聞こえない。その理由は不明。
- 雷鳴によりて、さわらは大洋に帰る(出魚に向かう)。漁期が例年梅雨期に終わるため、その頃には雷鳴を聞くためであろう。
- 一般にアオチ(風の吹きたる後)には、さわらは流し網に漁獲が多い。
- 寒中、寒強く降雪の多い年は、入込みが多い。
- 春寒の強い(春になっても寒い)年は、さわらは讃海の中央(備讃瀬戸)に少なく、播磨灘・燧灘に停滞して、そこで産卵を終わり、外洋に帰るという。
- 入込み時に、紀州地(明石海峡方面)にさわらが多いと、讃岐の海では豊漁である。
- 白子(雄魚)が多い年は、流し網は不漁に終わる。
- 旧暦五月(稚魚の出魚後)頃、小さわら、サバと混じって入込み多い年は、必ず翌年はさわらが豊漁である。
- さわら産卵後(九十九夜以後)大風ある時は、ほとんど魚を見ることがない。つまり外海に向かって遊泳し去るため。
- 八十八夜前後の大風は豊漁を意味する。
- イカナゴの多い年はさわらの漁獲もまた多い。イカナゴの発生が多い時は、さわらがこれを捕食するため滞留期間が長いためであろう。
- 入込み当時東風が吹けば漁が多い。内海では東風の後は通常海水が濁っているため流し網等では漁獲が多くなる訳である。
- 晴れている暗夜は漁獲が多い。さわら流し網に最も漁獲が多いのは、星がきらめく暗夜に漁獲が多いという例によるもので、真黒の暗夜よりも漁獲が多いという。
これはたぶん、網具の動揺により夜光虫の発する小さな光が、星明りの暗夜のほうが、真黒の暗夜よりもさわらの目にうつることが少ないからだろう。 - サワラは潮流に向かって遊泳する。流し網にかかるさわらは十中八九まで潮流に向かってかかる。
- 大型のさわらは底層を泳ぎ、小型さわらは上層に多い。入込み当時には大型さわらを目的に底の網は荒目にする者もいる。
『大正九年度業務功程報告』香川県水産試験場刊(大正9年)、
『鰆漁業調査』第一報香川県水産試験場刊(大正8年)からの引用